書類の届出 ~従業員が退職した時 / 退職はしていないが被保険者に該当しなくなった時~

 このページでは従業員が退職した時に提出する書類について説明します。また、被保険者であった者が労働時間の減少等により被保険者でなくなった場合も同じ手続きをします。被保険者に該当するかどうかはこちらのページで解説しております(被扶養者に該当するかどうかも記載しています)。

Ⅰ.必ず提出するもの

 こちらの書類は退職者が雇用保険、健康保険、厚生年金保険の被保険者である場合は必ず提出しなければなりません。


1.雇用保険 被保険者資格喪失届

(1)提出先  管轄公共職業安定所
(2)提出時期 離職した日(最後の勤務日)の翌日から起算して10日以内
(3)添付書類 
・労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、その他の被保険者となったことの事実や、その年月日を証明することができる書類
・雇用保険 被保険者離職証明書(下記参照)
・離職理由の確認書類(定年によるのであれば就業規則等、自己都合であれば退職届等)が必要になります。
(4)その他  
①退職の他、従業員が以下の事由に該当した時も、資格喪失届を提出します。
・被保険者資格の要件を満たさなくなった時
・法人の役員に就任した時
・被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失った時
・出向者について、出向先が主な事業所である時
②退職者が外国人で、雇用保険の被保険者ではない場合、外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。このページの最下部で説明しています。

雇用保険法第7条、同施行規則第7条・第16条

2.雇用保険 被保険者離職証明書
 この証明書は資格喪失届と同時に提出します。

(1)提出しない場合 以下の二つを満たせば提出不要です。
・退職者が「雇用保険 被保険者離職票」の交付を希望せず、その旨を証明する書類を提出する時
・退職者が離職日において59歳未満である時(59歳以上であれば必ず交付します)
(2)添付書類 離職の日以前(=記載した期間すべて)の賃金支払状況等の分かる書類(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿等)
(3)その他  労働者が離職証明書の交付を迷っていれば、交付しておいた方がよいでしょう。失業等給付の受給のため後から必要になることもあるためです(なお、後からであっても事業主は作成依頼を拒否できません)。

雇用保険法施行規則第7条・第16条

3.健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
 
(1)提出先  管轄年金事務所
(2)提出時期 退職等の事実があった日の翌日から起算して5日以内
(3)添付書類 
・健康保険被保険者証等
・(被保険者証等を回収できなければ)健康保険 被保険者証回収不能・滅失届(下記参照)
(4)その他  
・被扶養者(異動)届は不要です。
・退職者の配偶者が国民年金の第3号被保険者の場合、種別変更の手続きをしなければ、以降の国民年金の保険料が未納となるので注意が必要です。
・60歳以上の方が退職し、一日の空白もなく再雇用する時の手続きは、こちらのページをご覧ください。
・退職後の健康保険は、転職や被扶養者となっていなければ、基本的には国民健康保険または任意継続被保険者のどちらかになります。

健康保険法第48条、同施行規則第29条・第51条
厚生年金保険法第27条、同施行規則第22条・第22条の2

Ⅱ.該当すれば提出するもの

 こちらの書類は当てはまれば提出が必要なものです。該当するかどうか、条件をよくご確認ください。


1.雇用保険 被保険者休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書
 
(1)提出する場合 下の①と②の両方に該当する場合に必要になります。
①離職者が特定理由離職者または特定受給資格者として受給資格の決定を受けることとなる場合
②離職者が小学校就学前の子を養育するための休業、対象家族を介護するための休業、あるいは養育・介護のための勤務時間の短縮を行った場合

(2)提出先  管轄公共職業安定所
(3)提出時期 離職した日の翌日から起算して10日以内
(4)添付書類 育児休業申出書、介護休業申出書等 (休業等を行った事実や期間、休業等開始日前の賃金の額を証明できる書類)

雇用保険法施行規則第14条の3

2.健康保険 被保険者証回収不能・滅失届

(1)提出する場合   被保険者証や高齢受給者証(70歳以上の方のみ)等が紛失等で提出できない時
(2)提出先、提出時期 被保険者資格喪失届と一緒に提出
(3)添付書類 退職者が所在不明であったり、再三の督促にも応じなかったり等で回収できない場合は、その旨を証明する返戻ハガキ・督促状の写し等
(4)その他  資格喪失が死亡によるものである時は、被保険者証の回収は不要です(被保険者の死亡に関する給付を請求する時に、その請求者が返納します)。


3.健康保険 任意継続被保険者資格取得申出書
 こちらは退職書本人が提出するものですが、退職証明書や雇用保険被保険者離職票等、事業主が作成した資格喪失の事実が確認できる書類のコピーが必要になるので、事業主の配慮が要る書類と言えます。

(1)提出する場合 退職者が離職後も同じ健康保険に加入することを希望する場合  
(2)提出先    事業所が現在加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合等)
(3)提出時期   資格喪失日(最後の勤務日の翌日)から20日以内

健康保険法第3条、同施行規則第42条

4.国民年金 被保険者関係届書
  こちらも退職書本人が提出するものです。提出する場合が複雑なので、同じく事業主の配慮があるとよいでしょう。なお、退職により第3号被保険者に該当する場合は、下の「第3号被保険者関係届」を提出することになります。

(1)提出する場合 退職者の国民年金の種別が第1号に変更になる時
(2)提出先    市町村長
(3)提出時期   事実があった日から14日以内

国民年金法第12条、同施行規則第6条の2

5.国民年金 第3号被保険者関係届

(1)提出する場合 退職者の国民年金の種別が第3号に変更になる時
(2)提出先    市町村長
(3)提出時期   事実があった日から14日以内
(4)その他    提出自体は退職者の配偶者側の事業主の義務です。

国民年金法第12条、同施行規則第6条の2

6.多数離職届
 この届出は「高年齢者雇用安定法」により45歳以上の労働者について提出するものです。下記の大量離職届とは別物です。

(1)提出する場合 同一の事業所において、 高年齢者等が定年、解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く)や定年、再雇用等の終了等により、1ヶ月以内に5人以上離職する場合
(2) 高年齢者等の定義 45歳以上、70歳未満の者(日々雇用者や、試用期間中で雇用14日以内の者等は除く)
(1)提出先    管轄公共職業安定所
(2)提出時期   届出に係る最後の離職が生ずる日の1ヶ月前まで

高年齢者雇用安定法第15条・第16条、同施行規則第6条・第6条の2

7.大量離職届
 上記の多数離職届と似た名前ですが、こちらは「労働施策総合推進法」によるものです。労働者の年齢は関係ありません。

(1)提出する場合 同一の事業所において、 1ヶ月以内に30人以上離職する場合(自己都合、または自己の責めに帰すべき理由によらないで離職する者、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつたことにより離職する者は除く)
(2)提出先    管轄公共職業安定所
(3)提出時期   届出に係る最後の離職が生ずる日の1ヶ月前まで
(4)その他    日々または期間を定めて雇用されている者等は数にカウントしません。また、下記の「再就職援助計画」の認定を申請すると、この「大量離職届」が提出されたとみなされます。

労働施策総合推進法第24条・第27条、同施行規則第8条・第9条

8.再就職援助計画

(1)提出する場合 同一の事業所において、経済的事情による事業規模の縮小により、1ヶ月以内に30人以上が離職することになる場合
(2)提出先    管轄公共職業安定所
(3)提出時期   届出に係る最初の離職が生ずる日の1ヶ月前までに作成し、その後、遅滞なく提出
(4)その他    対象は常時雇用する労働者です。また、作成にあたり過半数労働組合等の意見を聴かなければなりません。

労働施策総合推進法第24条、同施行規則第7条の2~第7条の4

9.退職時の証明書
 こちらの書類は役所ではなく、退職する労働者へ交付するものです。

(1)提出する場合 退職する労働者から請求があった場合
(2)提出先    退職する労働者
(3)提出時期   遅滞なく
(4)記載内容   使用期間、 業務の種類、その事業所における地位、賃金、退職の事由(解雇の場合には、その理由を含む)のうち、労働者の請求する事項
(5)その他    上記の記載内容であっても、請求のない事項を記入することは禁じられています。
※退職について、労働基準法第22条第4項で、「あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし」たり、退職時等の証明書に「秘密の記号を記入してはならない」と決められています。

労働基準法第22条

10. 健康管理手帳交付申請書
 こちらの書類は、提出自体は退職する労働者が行います。

(1)提出する場合 退職する労働者が、ガンその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務に従いており、一定の要件を満たす場合
(2)提出先    離職前は事業所の管轄都道府県労働局、離職後は労働者の住所を管轄する都道府県労働局
(3)提出時期 
(4)添付書類   交付要件に該当する事実を証する書類

労働安全衛生法第67条、同施行規則第53条

11.外国人雇用状況届出書
 
(1)提出する場合 労働者が外国人であり、雇用保険の被保険者ではない場合
(2)提出先    管轄公共職業安定所
(3)提出時期   雇入れた日の属する月の翌月の末日

労働施策総合推進法第28条、同施行規則第10条~第12条


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