介護休業給付
このページでは雇用保険の介護休業給付について説明します。基本的に介護休業を取得し、雇用保険法の要件を満たしていれば給付を受けられますが、対象になるのは育児介護休業法に定める介護休業であり、各事業主が法律に上乗せしてプラスαで定めたものについては給付されません。
なお、法律に定める休業制度そのものについてはこちらのページをご覧ください。
Ⅰ.介護休業給付金
介護休業給付金は、介護休業を取得した労働者に支給されるものです。規定が育児介護休業法と雇用保険法にまたがっているので複雑ですが、簡単に言うと法律で定められた介護休業をしている間は、給付金が支給されるということです。
1.対象となる労働者
・雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者は除きます)であること
・休業開始日より前の2年間に、みなし被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
(2年間の間に疾病、負傷、出産、事業所の休業、事業主の命による海外勤務等の理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった日がある方は、最大4年間まで延長されます)
・期間を定めて雇用される者にあっては、介護休業開始予定日から起算して93日を経過するから6ヶ月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと(労働契約が更新される場合は更新後の契約になります)
※みなし被保険者期間の説明は、育児休業給付のページの育児休業給付金の項目をご覧ください。
雇用保険法第61条の4、同施行規則第101条の16・第101条の18
2.介護の対象となる家族
以下の通りです。育児介護休業法の育児休業に対応しています。
・労働者の配偶者(婚姻の届出がなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含めます)、父母、祖父母、兄弟姉妹、子、孫
・労働者の配偶者の父母。
※必ずしも高齢者や同居、扶養している方、障害認定されている方の介護に限られるわけではありません。
雇用保険法第61条の4、同施行規則第101条の17
3.介護休業の日数と回数 介護休業は最大で93日、3回までの分割取得が可能です。
※育児休業給付金と異なり、介護休業期間は、その労働者の基本手当にかかる算定基礎期間からは除外されません。
雇用保険法第61条の4
4.介護休業給付金の額
介護休業給付金は、支給単位期間ごとに、以下の額が給付されます。
休業開始日賃金日額 × 67 / 100 × 30(日)
30日という数字ですが、支給単位期間の1ヶ月まるごと休業していれば、この数字を使います(実日数が28日や31日でも、×30になります)。支給単位期間の途中で休業が終了していれば、その間の実日数を掛けます。
※支給単位期間、休業開始日賃金日額の詳しい説明は、育児休業給付のページの育児休業給付金の項目をご覧ください。なお、支給単位期間は介護休業を開始した日から起算して3ヶ月を経過する日までに限られます。
雇用保険法第61条の4・附則第12条
5.休業期間中に就業する場合
育児休業給付金の支給要件には以下のものがあります。休業期間中に就業する場合、下記の日数や時間を超えると給付金は支給されなくなります。
・支給単位期間において、就業日数が10日以下であること
雇用保険法施行規則第101条の16
6.賃金との調整
休業期間中に賃金の支給があった場合、給付金は以下のように減額ないし不支給となります。計算は支給単位期間のそれぞれについて行われます。
(1)その支給単位期間の給付金+賃金>休業開始日賃金日額 × 80 / 100 × 30(または休業終了日までの実日数)
その支給単位期間について、育児休業給付金と賃金の合計が、休業開始日賃金日額 × 80 / 100 × 30(または休業終了日までの実日数)になるように調整されます。
(2)その支給単位期間の賃金のみの額>休業開始日賃金日額 × 80 / 100 × 30(または休業終了日までの実日数)
その支給単位期間については、育児休業給付金は支給されません。
雇用保険法第61条の4
7.支給申請手続
(1)給付金の支給申請の日までにする書類提出
下記(2)の前に、事業主は以下の書類提出をする必要があります。ここで提出された書類をもとに(2)の休業開始時賃金証明票が作成されるからです。
①提出書類 休業開始時賃金証明書
②提出先 管轄公共職業安定所
③提出時期 下記(2)の日までに提出
④添付書類 労働者名簿、賃金台帳、その他休業を開始した日や、その日より前の賃金の額、雇用期間を証明することができる書類
⑤その他 育児休業給付および介護休業給付の支給申請手続を事業主が代理で行う場合、 初回の支給申請と一緒に提出することができます。
(2)給付金の支給申請のための書類提出
こちらの書類の提出は、労働者が事業主経由で行うものとされていますが、やむを得ない理由があれば事業主を経由しないで行うことができます。
①提出書類 介護休業給付金支給申請書、休業開始時賃金証明票、介護休業申出書
※育児休業と異なり、1回目や2回目という区別はありません。申請の都度、上記の書類を提出します。
②提出先 管轄公共職業安定所
③提出時期 休業を終了した日(支給単位期間の末日)の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで
④添付書類 以下の通りです。
・住民票記載事項証明書(またはその他の対象家族の氏名、被保険者との続柄、性別及び生年月日を証明することができる書類)
・出勤簿(またはその他の介護休業の開始日及び終了日並びに介護休業期間中の休業日数を証明することができる書類)
・賃金台帳(またはその他の支給単位期間に支払われた賃金の額を証明することができる書類)
・(期間を定めて雇用される者のみ)介護休業終了後の雇用の継続が予定されていることを証明することができる書類
⑤その他
・申請書の中の、申請者(労働者)の署名は、「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」があれば省略できます(添付は不要です)。
雇用保険法施行規則第14条の2・第101条の19
8.その他
介護休業給付金は、非課税です。
雇用保険法第12条