書類の届出 ~事業主、事業所についての変更等があった時~
Ⅰ.事業主の氏名や住所が変わった時
1.労働保険 名称・所在地等変更届
(1)提出先 管轄労働基準監督署または公共職業安定所
(2)提出時期 事実があった日の翌日から起算して10日以内
(3)添付書類 提出先が必要と認める時は、登記事項証明書等の変更が確認できる書類
(4)その他 雇用保険より労災保険の変更届を先に提出してください。
労働保険徴収法第4条の2、同施行規則第5条
2.雇用保険 事業主事業所各種変更届
(1)提出先 管轄公共職業安定所 年金事務所を経由して提出することができる?
(2)提出時期 事実があった日の翌日から起算して10日以内
(3)添付書類 登記事項証明書、賃金台帳、労働者名簿等(変更があつたことを証明することができる書類)
(4)その他
・先に「労働保険 名称・所在地等変更届」の提出が必要です。
・法人の代表者についての変更は手続き不要です。
雇用保険法施行規則第142条
3.健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)提出時期 事実があった日の翌日から起算して5日以内
(3)その他 個人事業主の場合は適用事業所名称 / 所在地変更届の提出も併せて提出します。
健康保険法施行規則第31条
厚生年金保険法施行規則第24条
Ⅱ.事業所の名称や所在地が変わった時
1.雇用保険 事業主事業所各種変更届
2.労働保険 名称・所在地等変更届
内容は上記と同じです。ただし、同一の都道府県内であれば、変更後の事業所を管轄する労基署等に提出してください。他の都道府県に移転する場合は別途対応が必要です。
3.健康保険・厚生年金保険 適用事業所所在地 / 名称変更 (訂正) 届
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)提出時期 事実があった日の翌日から起算して5日以内
(3)添付書類 登記簿謄本のコピー(法人)、住民票のコピー(個人事業主の所在地変更)、公共料金の領収書のコピー等(個人事業主の名称変更)
①所在地が変わった時
a. 事業所の電話番号が変わった場合 事業所関係変更届にも電話番号の記入欄はありますが、提出は不要です。
b. 他の都道府県に移転する場合 全員の健康保険被保険者証も提出します。※1
c. 変更の前後で管轄年金事務所が異なる場合 変更前の管轄年金事務所に提出します。※2
②名称が変わった時(社名の変更時) 全員の健康保険被保険者証も提出
※被保険者証には社名が印字されているからです。
(4)その他 提出書類と、実際の事業所の所在地が異なる場合は、賃貸借契約書や公共料金の請求書等のコピーが必要になります
健康保険法施行規則第30条
厚生年金保険法施行規則第23条
4. 労働保険 継続被一括事業名称・所在地変更届
こちらは、 労災保険、雇用保険で継続事業に一括された指定事業(本社等の一括処理を行おうとする事業所)以外の事業の名称、所在地等が変わった時に提出するものです。
(1)提出先 指定事業の所轄都道府県労働局
(2)提出時期 遅滞なく
労働保険徴収法施行規則第10条
Ⅲ.代理人の変更があった時
1.労働保険 代理人選任・解任届
労働者災害補償保険 代理人選任・解任届
雇用保険 被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届
こちらは、 上記3種類が一括して記載、届出ができるようになっています。また、選任届を兼ねているため、解任と同時に別の代理人を選任し た場合も、選任の届出はこの届書で行います。
(1)提出する場合 代理人を選解任した時、代理人の届出事項(職名や代理事項等)に変更があった時
(2)提出先 管轄の労働基準監督署または公共職業安定所
(3)提出時期 代理人の変更があった時
労災保険法施行規則第3条
雇用保険法施行規則第145条
労働保険徴収法施行規則第73条
2.健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届
こちらは上記の変更(訂正)届の説明と同じです。
Ⅳ.その他の変更
1.事業所の「事業の種類」 が変わった場合は、以下の書類を提出します。提出方法は上記の説明と同じです。
・雇用保険 事業主事業所各種変更届
・労働保険 名称 所在地等変更届
・健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更 (訂正) 届
2.労働保険の継続事業の一括認可の追加、取消を行う場合は、以下の書類を提出します。なお、追加であれば要件に該当すれば増加概算保険料の申告書の提出が必要になります(取消の場合は必要になることはありません。提出要件はこちらのページをご覧ください)。
・労働保険 継続事業一括認可・追加・取消申請書
(1)提出先 指定事業の管轄都道府県労働局
(2)提出時期
(3)添付書類
(4)留意事項
①一括されている事業所が一括の要件に該当しなくなったため取り消す時
事業主や事業の種類が変わった時等が該当します。この場合には、その事業所について、改めて保険関係成立の手続をします。被一括事業の保険関係は認可時に消滅するからです。
②指定事業を廃止した時
この場合には、速やかに一括されている他の事業所を指定事業とする変更申請を行う必要があります。
③指定事業を廃止したが、他に指定すべき事業所がない時
この場合、一括そのものを取り消すことになります。そのため、一括されていた他の事業所は、改めて保険関係成立に係る手続をすることになります。
労働保険徴収法第9条・同施行規則第10条
3.以下の事項があった場合、「健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届」を提出します。
・事業主の変更(法人の代表者も含みます)
※変更後の事業主や代表者が変更前の項目も記入します。
・事業所の連絡先電話番号の変更
・『被保険者報酬月額算定基礎届』 または 『被保険者賞与支払届』 について、「算定基礎届」または「賞与支払届」に被保険者氏名等を印字したものの送付を希望するとき、または不要となった場合
・昇給月、賞与支払予定月、現物給与の種類の変更
・社会保険労務士への業務の委託または委託の終了
・年金委員の委嘱または解任
・法人番号、会社法人等番号の変更
・健康保険組合の名称の変更(訂正)
・事業所の「法人」「個人」「国・地方公共団体」の区分の変更(訂正)
・本店、支店の区分の変更(訂正)
・内国法人(国内に本店または主な事業所を有する法人のこと)または外国法人(内国法人以外の法人のこと)の区分の変更(訂正)
健康保険法施行規則第30条・第31条
厚生年金保険法施行規則第2条・第24条
Ⅴ.社会保険の特定適用事業所に該当した時
1.特定適用事業所に該当した時
社会保険では、適用事業所に勤めるフルタイムの正社員と、週所定の労働時間(または月の所定労働日数)がフルタイムの正社員の4分の3以上の方の加入が義務付けられています。
これに加えて、厚生年金保険の70歳未満の被保険者の数が51人以上の適用事業所(「特定適用事業所」と言います)については、一定の要件をすべて満たせば、パート、アルバイト等の短時間労働者の方についても加入が義務付けられます。
ここでは、被保険者の数が51人以上となった時に提出する書類について説明します。
(1)提出する場合 1年のうち6ヶ月間以上、被保険者の総数が51人以上となることが見込まれる時※3
(2)提出書類 健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所該当届
(3)提出先 管轄年金事務所
(4)提出時期 事実があった日の翌日から起算して5日以内
(5)添付書類 なし。ただし、保険の加入にともない、被保険者資格取得届等の提出が必要になります。
(6)その他
・法改正により、令和6年10月より被保険者の総数が「51人以上」となりました。
・年金機構において、直近11ヶ月のうち5ヶ月50人を超えたことが確認できた場合は、特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせが届きます。
健康保険法附則第46条、同施行規則第23条の2
厚生年金保険法附則第17条、同施行規則第14条の3
2.特定適用事業所に該当した後、非該当となる時
一度特定適用事業所に該当すれば、その後に被保険者の数が減少し50人以下になったとしても、特定適用事業所のままであるとみなされます。したがって、特定適用事業所であれば被保険者になる労働者が、ある日突然、被保険者でなくなるというようなことは起こりません。
しかし一定の要件を満たせば、これを取り消すことができます。
(1)取消しができる場合 特定適用事業所でなくなることについて、以下の同意がある時
①同意対象者の3 / 4以上で組織する労働組合がある時は、労働組合の同意
②上の労働組合がない時は、下のいずれかの同意
a.同意対象者の3 / 4以上を代表する者の同意
b.同意対象者の3 / 4以上の同意
同意対象者とは、厚生年金保険の被保険者(短時間労働者および共済組合等の組合員等を含みます)および 70 歳以上の被用者のことを言います。特定適用事業所の人数要件は「被保険者」の数であり、対象になる労働者が両者で少し異なっています。
なお、同意対象者の3 / 4以上を代表できる者には、一定の決まりがあります。
(2)提出書類 健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所不該当届
(3)提出先 管轄年金事務所
(4)添付書類 以下のものが必要になります。
・同意書
・上記①の場合は、同意対象者の3 / 4以上で組織する労働組合であることを証する書類
・上記②‐aの場合は、同意対象者の3 / 4以上を代表する者として正当に選出された者であることを証する書類
健康保険法附則第46条、同施行規則第23条の2の2・第23条の3
厚生年金保険法附則第17条、同施行規則第14条の3の2・第14条の4
3.特定適用事業所に任意で該当 / 取消しをする時
制度の詳細は割愛しますが、特定適用事業所になるための要件を満たしていなくても、一定の方法で同意を得れば任意で特定適用事業所となることができます。また、任意でこれを取り消すこともできます。
健康保険法附則第46条、同施行規則第23条の3の2~第23条の3の4
厚生年金保険法附則第17条、同施行規則第14条の5~第14条の7
※1 同一の都道府県内であれば、被保険者証の提出はありません。管轄する協会けんぽの支部は変わらないからです。
※2 労働保険と異なり、変更後の管轄年金事務所へ引き継がれます。
※3 労働関連の法律では事業所単位での適用が多いですが、この制度では法人については支社、支店等も含めた企業全体の被保険者数で51人以上かどうか判断されます。