書類の届出 ~従業員についての変更等があった時~
このページでは、従業員について、賃金の変動や転勤以外の変更があった時の手続きを紹介します。
Ⅰ.住所、氏名が変わった時
こちらは従業員が健康保険、厚生年金保険の被保険者であり、その氏名や住所が変更された時の説明です。基本的に手続きは不要ですが、健康保険組合に加入している等の理由でマイナンバーと基礎年金番号が結びついていなかったり、健康保険のみに加入していたりする場合等は提出が必要です。
住所変更については、住民票の住所以外の居所を登録する場合にも提出が必要になります。
1.健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更届
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)提出時期 従業員から氏名変更の申出を受けた後に速やかに
(3)添付書類 健康保険の被保険者証、健康保険の高齢受給者証や特定疾病療養受領証等(交付されている場合)、厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届(外国籍の方の場合)
健康保険法施行規則第28条・第36条
厚生年金保険法施行規則第6条・第21条
2.健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)提出時期 従業員から氏名変更の申出を受けた後に速やかに
(3)添付書類 なし
健康保険法施行規則第28条の2・第36条の2
厚生年金保険法施行規則第6条の2・第21条の2
3.その他
その他の書類として、「厚生年金保険 高齢任意加入被保険者氏名変更届」「厚生年金保険 高齢任意加入被保険者住所変更届」「厚生年金保険 第4種被保険者氏名変更届」「厚生年金保険 第4種被保険者住所変更届」があります。
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)提出時期 変更した日の翌日から起算して10日以内
厚生年金保険法施行規則第5条の4・第5条の5
4.雇用保険の届出
雇用保険については氏名の変更は不要です(資格喪失届や転勤届の提出の際にあわせて行います)。また住所についても、そもそも離職時等に初めて届け出るので、変更は不要です(在職時点では届出はされていません)。
Ⅱ.被扶養者に異動があった時
こちらは従業員が健康保険、厚生年金保険の被保険者であり、その被扶養者について変更が生じた場合に提出するものです。
(1)提出する場合
・新たに被扶養者が生じた(婚姻等)
・被扶養者が増減した(出産等)
・収入が基準額以上に増えた、またはそれ以下に減った
・就職した、または離婚した
・同居した、または別居した
・健康保険、船員保険の被保険者または共済組合、国保組合等の組合員になったとき
・75歳に到達した(後期高齢者になった)
・65歳以上74歳以下で、障害認定された
・その他(氏名の変更等)
(2)提出書類 健康保険 被扶養者(異動)届
(3)提出先 管轄年金事務所
(4)提出時期 新たに生じた場合は生じた日の翌日から起算して5日以内、変更の場合はそのつど
(5)添付書類
①新たに被扶養者となる場合は、こちらのページの「3.被扶養者(異動)届」の項目をご覧ください。
②扶養から外れる場合は、健康保険の被保険者証、健康保険の高齢受給者証(交付されている場合)を提出します。
健康保険法施行規則第38条
Ⅲ.紛失等
雇用保険、健康保険、年金保険では、被保険者資格を得ると、被保険者証や基礎年金番号通知書が交付されます。これらは保険給付を受ける際に必要になるため、紛失や破損等の際には再交付を受ける必要があります。
1.雇用保険 被保険者証再交付申請書
(1)提出先 公共職業安定所
(2)添付書類 運転免許証、健康保険の被保険者証等( 本人であることを証明できる書類)
(3)その他 本人、事業主のどちらから提出しても構いません。
雇用保険法施行規則第10条
2.健康保険 被保険者証再交付申請書
(1)提出先 協会けんぽ、健康保険組合
(2)添付書類 破損、汚れの場合は被保険者証
(3)その他 原則、事業主からの提出になります。
健康保険法施行規則第49条
3.基礎年金番号通知書再交付申請書
(1)提出先 管轄年金事務所
(2)添付書類 本人からの提出になりますが、事業主からでも構いません。
厚生年金保険法施行規則第11条
Ⅳ.その他
1.定年後の再雇用により、賃金が減額された場合の届出
正社員として雇用されていた方が、定年を迎え再雇用された場合、賃金が減額されることはよく見受けられます。この時、社会保険料は随時改定が行われるまでは、高かった時の保険料のままです。随時改定は賃金が3ヶ月変動していることが条件ですので、再雇用となってすぐ、保険料も新しい給料に見合うよう減額させたい時は、以下の手続きをすれば解消します。
(1)「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を提出する
(2)次に、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出する
(3)その際、再雇用の日付は、必ず退職日の翌日にする(雇用期間に一日も空白がないようにする)
このプロセスを踏むことにより、社会保険料は採用時の報酬にもとづき計算されるので(資格取得時決定と言います)、労働者の負担は軽減します。
注意点としては、社会保険料が減るということは厚生年金保険料も減る、つまり将来もらえる年金額も減るということですので、この届出はそのデメリットを労働者が理解したうえで行う必要があります。
なお、雇用保険料は支払われた賃金にもとづき計算されるので、社会保険料のようなタイムラグによる負担は生じません。また、年次有給休暇については継続勤務年数がリセットされるわけではないので、年休という点で不利益が生じることはありません。
「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」についてはこちらのページを、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」についてはこちらのページをご覧ください。
2.厚生年金保険 種別変更届
(1)提出する場合 厚生年金被保険者である労働者について、 種別の変更または厚生年金基金の加入員であるかないかの区別の変更があった場合等
(2)提出先 管轄年金事務所
(3)提出時期 事実があった日の翌日から5日以内
厚生年金保険法施行規則第20条