賃金・報酬に入るもの、入らないもの①(一覧表)

 事業を設立し、従業員を雇えば給料を払わなければなりません。給料を払えば給料の額やそれにもとづく保険料を申告しなければなりません。では、どこまでが給料で、どこからが給料とはみなされないのでしょうか。毎月の基本給や残業代は給料です。では、家族手当や、非課税の通勤手当はどうでしょうか。出産祝い金のように明らかに本人の能力や仕事の成果とは関係ないものはどうでしょうか。
 結論として、大枠は共通しているものの、給料に入るかどうかの区別は法律により異なります。このページでは、法律や制度ごとに賃金や報酬になる、ならないを見ていきます。なお、このページで使われる賃金、報酬、給料は同じものを指すと考えてください。

Ⅰ.賃金、報酬の定義

 賃金に入るかどうかで主に関わって来るのは労働基準法、労災保険法、雇用保険法、労働保険、社会保険です。労働基準法では平均賃金や割増賃金、労災保険法では休業時の給付基礎日額、雇用保険法では失業時等に支給される基本手当、残る2つでは保険料の算出時に関わってきます。
 法律上、賃金の定義はおおむね次の通りです。

賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うもの

 労働の対償というのは、労働の対価ということです。要は、労働者が働いてくれた見返りとして払うものはほぼすべて給料、ということです。

労働基準法第11条
雇用保険法第4条
労働保険徴収法第2条
健康保険法第3条
厚生年金保険法第3条

Ⅱ.一覧表

 労働者が受ける金銭が賃金や報酬となるかどうかを、法律や制度ごとに表にすると次の通りとなります。詳しい説明はこちらのページをご覧ください。


※1 賃金日額の計算に使われるかどうかを記載しています。雇用保険の保険料は労働保険の欄をご覧ください。
※2 たとえば6ヶ月分をまとめて支給しても、「3ヶ月を超える期間ごとに支払われる」賃金には該当しません。3ヶ月を超える期間ごとに支払われていても、それは便宜上のものに過ぎないためです。この場合は手当額を6で割った、毎月の給料とします。
※3 基本的に計算から除外されますが、一律に一定額が支給されるものは賃金となります。
※4 計算からは除外されます。ただし労働協約、就業規則、労働契約等で支給条件が明確であれば「臨時に支払われる」賃金となり、賃金支払5原則が適用されます。
※5 福利厚生費という名称でなくても、福利厚生的な性格のものは賃金とはなりません。
※6 休業補償費は、法定額以上を支給しても賃金とはなりません。
※7 傷病手当金自体は賃金とはなりませんが、事業主が独自に追加支給する場合、賃金になるものとならないものがあります。
※8 現物給与に該当するかどうかや、該当する場合の金額換算の仕方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
※9 労働協約に定めがあれば賃金となります。
※10 労働協約、就業規則、労働契約等で支給条件が明確であれば賃金となります。
※11 厳密には労働基準法では「一部補助であっても」賃金とはならないという説明がされています。
※12 使用者が集めて再分配すれば賃金となります。

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