採用後の被保険者資格の取得 / 喪失について
このページでは、労働者が雇用保険や社会保険(健康保険と厚生年金保険)の被保険者に該当、もしくは喪失するタイミングについて説明します。採用当初は被保険者ではなかったが、その後に資格を取得する場合、および被保険者であったものの、退職はしていないが資格を喪失する場合について、簡単な説明を致します。
Ⅰ.資格取得のタイミング
雇用保険や社会保険は、要件を満たせば被保険者となります。具体的なタイミングは次の4通りです。
・採用当初から要件を満たしている。
・採用後に労働条件が変わり、要件を満たすようになった。
・保険の適用事業所ではなかったが、途中で適用事業所に該当した、もしくは任意で適用事業所となった。
・法令の変更
一つめは分かりやすいですが、二つめの労働条件の変更は見過ごしてしまうこともありますので注意が必要です。労働時間や賃金が増加したため、被保険者に該当するということも有りえます。三つめについては個人事業主の事業所については気をつけておくとよいでしょう。従業員の数が増加すると適用事業所になる場合もあります(法人は人数にかかわらず、強制適用です)。四つめの法令変更も、特に社会保険は適用範囲を広げる方向で動いているため、法令変更についても押さえておくべきです。
なお、資格取得のための要件については、こちらのページを、手続きについてはこちらのページを、任意加入についてはこちらのページをご覧ください。
Ⅱ.資格喪失のタイミング
雇用保険や社会保険の被保険者資格は、要件を満たせば失われます。具体的なタイミングは次の3通りです。
・退職した。
・退職はしていないが、採用後に労働条件が変わり、要件を満たさなくなった。
・保険の(任意)適用事業所であったが、途中で(任意)適用事業所ではなくなった。
保険はあくまで労働者のためのものですので、退職すれば原則、資格を喪失します。また、資格取得時と同じく、労働条件の変更にも気を払うべきです。労働時間の減少や、それに伴う賃金減少のため、被保険者資格を失うことも十分に有りえます。なお、法令の変更については、これにより被保険者でなくなるということは考えにくいので、考えなくて結構です。
Ⅲ.適用事業所ではなくなった時の資格
1.
個人事業主の適用事業所が、従業員数が減少したことで適用事業所の要件を満たさなくなった場合です。結論から述べると、この場合は従業員は被保険者資格を喪失しません。適用事業ではなくなったのと同時に、任意加入の認可があったものとみなされる※1からです。これは、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険のいずれにも共通することです。
なお、その後は下記の申請により任意適用事業所でなくなれば、被保険者資格も失われます。
2.任意適用事業所ではなくなった場合
ただし、「任意」適用事業所が申請により任意適用事業所でなくなった場合は、被保険者資格は失われます。申請には労働者の同意が必要であるため、被保険者のままでいる理由がないからです。なお、こちらも雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険のいずれも共通です。
労働保険徴収法附則第2条
整備法第5条
健康保険法第32条
厚生年金保険法第7条
※2
※1 擬制任意適用事業(所)と言います。
※2 他のページでも言及しているため、根拠法令はⅢの第一段落のみ掲載しています。